地震シミュレーション・トレーニング     ヤルデア研究所 伊東義高


・大地震とは未だかって経験したことのない驚天動地の大震動である。 ・自分の周辺の全てがとんでもない大音響を発し、異常な挙動をする。 ・人の脳が仰天をし、体が萎縮をするその瞬間の行動が生死を分ける。 ・気軽な防災パンフレットには「落ち着いて行動せよ」と書いてある。 ・落ち着いて行動できないからこそ、大地震は人間の危機なのである。 ・それでは凡人達は大地震の発生に備え何をすればよいのかを考える。 ・最も良いのは全器物を大震動にも耐えられるものにすることである。 ・人間の在住・行動の場が特定な所に限らないのだから不可能である。 ・30世紀には人工物の殆どが耐震耐火構造になろうが今は無理である。 ・文明の端境期である現在、補完する文化を工夫・試用するほかない。 ・それが平時における「地震シミュレーション・トレーニング」である。 ・スポーツの世界などで既に実用されている「疑似的体験訓練」である。 ・それは自分にとり望ましいイメージを反復焼付け体得するのである。 ・地震の場合は望ましくない状況を反復想像し馴化克服するのである。 ・それは器物の耐震化のような保障性はないが、それなり効果はある。 ・誰でも目を瞑り家庭の有様、職場の様子、街中の風景を思い出せる。 ・そこのタンス・事務机・ビルが地震でどう挙動するかは浮かばない。 ・TVで震動中の状況を見たり、新聞で結果の映像を見た経験はある。 ・見馴れた愛着のある身の回りと見馴れぬ嫌悪の状景は結び付き難い。 ・この二つを教えて貰うのではなく、自分の脳で結びつけるのである。 ・思いつくまま「地震シミュレーション・ストーリー」を書くのである。 ・愛着の身の回りと嫌悪の地震状景の組合せは巧くイメージできない。 ・詩人・文筆家でない一般人はイメージの言語化は苦手不得手である。 ・だからこそ巧くいかない地震イメージングを言語表現するのである。 ・はじめから不完全、身勝手、良い所取りを承知で作文するのである。 ・思いつくままに地震が起きて周りの器物がどうなるのかを記述する。 ・そして自分はどんな行動をするのか、するとどうなるかを記述する。 ・周りにいる人たちはどんな行動をして、その結果どうなるのか書く。 ・それを見て自分はどんな言動をし、それで何がどうなるのかを書く。 ・しばらくして様相はどう変化し、外部ではどうなっているかを書く。 ・間違っても自分が第一撃で死ぬとは書かない、書けないものである。 ・掠り傷はしても、瀕死の大怪我をするとは想像できないものである。 ・保身本能から自分に都合の良い、身勝手な、希望的観測に走り易い。 ・しかし、無意識にあまり一方的になると調整・修正機能が働き出す。 ・少しぐらいの被害、失敗、不都合をさらりと織り込み済ましている。 ・これを後日読み返してみると、かなり客観的な評価・検討が出来る。 ・また匿名にして、第三者評価をしてもらうとかなりの追及を受ける。 ・逆に自分が第三者のストーリーを読むと、玄人並みの分析が出来る。 ・地震防災コンサルタントの周到なストーリーを借用するよりも勝る。 ・同じ地域・同じ職場での匿名ストーリー検討ごっこが最高であろう。 ・他人のストーリーを読む時は無意識に攻撃的態度となるものである。 ・あら捜しとまでは行かなくても、矛盾・不合理は許さないのである。 ・自分で発見し、自分で修正し、自分で発表した点には自信が生じる。 ・他人から言われたら嫌悪することも、自分で言えばそれほどでない。 ・地震といういやなネガティブな問題だからこそ、ポジティブ化する。 ・一回といわずに二回三回と試みる、違ったストーリーを読んでみる。 ・しだいに地震全体に対する正体不明な恐怖感が脳から減衰していく。 ・仲間内でやれば、連帯感も強化され地震に対する自信すら生まれる。 ・突然グラグラ、ガタガタ…と来ても日ごろの脳鍛錬で動転が少ない。 ・瞬間の状況判断、行動選択に誤る確率が減り、生きる確率が増える。 ・マニュアル文化流行の時世では分からないことは何でも他人に頼る。 ・覚えたことは脳に知識として記憶されても、行動原理とはならない。 ・自分の意識の奥底を改めるには自分で何回も何回もやることである。 ・たった一度の人生、掛け替えのない体、自分で守るしかないだろう。 ・今ならまだ間に合う。後では後悔しようとしても後悔すら出来ない。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 読者実験欄……ご自分で記入してみていただきたい…… マイ・シミュレーション・ストーリー ・そのとき私は何処にいた…………… ・そのとき私は誰といた……………… ・そのとき私は何をしていた………… ・そのとき何がどうなった…………… ・そのとき私は何をどうした………… ・そうしたら何がどうなった………… ・そのとき本当はどうしたい………… ・そのとき困ることは何か…………… ・揺れの後での周囲のものは………… ・揺れの後での周囲の人達は………… ・揺れの後で私は何をどうした……… ・揺れの後で本当はどうしたい……… ・最悪のストーリーは何か…………… ・最善のストーリーは何か…………… ・今なら間に合う対策は何か………… ・私で出来る対策は何か……………… ・その対策を誰とやりたいか………… ・どれから手を付けたいか…………… ・これをいつまでにやりたいか……… ・これらのどこまでできそうか……… ・対策後のストーリーは変るか……… ・そのときのものの動きはどうなる… ・そのときの人の動きはどうなる…… ・そのときの私はどう変るだろうか… (私の人生、私と家族、私と仲間……)

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