家具の背面固定法     ヤルデア研究所 伊東義高


(1) 家具固定と美観性

・新装の部屋にこれらの家具類を配置してあるとする。 ・今、家族の身体を守るための地震対策をするとする。 ・地震対策としての家具類の固定法にはいろいろある。 (柱壁等に密着固定、鎖等で連結、摩擦力で止める) ・それぞれに耐震性、便宜性、美観性…の特徴がある。 ・耐震性を重視した固定法の代表は「L字金具」である。 (壁裏の間柱にL字金具を用いて固定する法である) ・いくら耐震性が優れても、美感性から疎んじられる。 (2) 家具の構造のいろいろ

(3) 壁のいろいろ

・木造でもコンクリート造でも間柱を取り付け、これに内装用の壁材を貼ったものが多い。  (間柱は一般に1寸5分<45mm>の角材が1尺5寸<45cm>間隔に位置する) ・間柱の位置は壁面を指先で叩いていくと音が違うので分かる。ネジは間柱の芯に打つ。 ・家具の寸法、家具設置位置から直接間柱を利用できればそれでよいが、ケースは少ない。 ・家具類を置く位置の壁の間柱2本以上に亘って横木を取り付け、これに家具を固定する。  (コンクリート壁の表面に壁材を貼ったものへの家具取り付けにはアンカー等を使う)  (コンクリート壁への工作は専門的な知識と技量を必要とする。プロへの委託が無難)  (横木の代わりに鋼材の長尺アングル・鋼製のパイプ・レールなどを使う方法もある) ・横木は厚さ約1cm、幅約5cm、長さは壁に取り付ける家具の合計幅近いものが適。 ・家具を撤去し、取り付けた横木を外した後は壁面にネジ跡が残るが穴埋めは容易である。  (ネジ穴を化粧ビスや壁紙で隠す、額縁で覆う、ハンガーボードなどに利用する法…)

* 家具の品質と期待強度 <組立方式は接着剤・鋲留め・嵌め込みであるが、ほとんどはボンド接着方式である> <生産者の多くは国内中小企業や中国・東南アジアであり、品質基準バラツキの不安> <地震対策としての壁固定などを一切考慮しない設計・製造であるが、今は問わない> (4) 家具内側からの取り付け (裏板が厚い場合) ・扉を開け、引出しを抜いて、裏板の内側から高さを測って、横木に対してネジを打つ。 ・内部が見える場合はネジ頭にキャップを被せるか、トラス・ネジや化粧ネジを用いる。 ・また、中が見えないもので、収納に支障なければ蝶ネジにすれば、着脱が容易である。

(裏板が薄い場合) ・家具類の背面の桟木を利用できる場合はよいが、背板は一般に薄く耐力がかなり小さい。 ・このような場合は家具の内側からか外側から補強板を当てて地震の引っ張り力に応える。  (補強板は裏板と同寸法のベニヤ板、ブリキ板または横木に見合う幅木、尺板を用いる)  (補強板はねじ止め箇所の周辺だけでなく、できる限り広くし、出来ればボンドで接着) ・補強板は外から見えないから美観性は損なわれないが、耐震性はそれほど期待できない。 ・耐震性100%を求めて敬遠されるより、耐震性ソコソコでも固定をされる方が好ましい。  (ソコソコの耐震性を少しでも強固にするために、横木に打ち込むビスの数を増やす)

(裏板がない場合……本棚など) ・側板の内側と横木の前面とをL字金具、首折れプレート等で留め、それを収納物で隠す。 (内部が見えない家具の場合、L字金具部分だけ薄い裏板をくりぬいても同様にできる)

(5) 家具外側からの取り付け (天板が厚い場合) ・天板の厚さが十分に厚い場合、その小口と横木の上辺とに首折れ金具を当て留める。 ・また裏板が天板の縁より1cmぐらい内側に引っ込んでいれば,平プレートが使える。 ・踏み台に乗って家具の天板越しに止める作業をすることとなるので天井高さが問題。

・天板の小口と横木に抜け防止のラッチのあるかんぬきを取り付ける方法も便利である。  (地震動には上下動もあるので抜け防止機能がなければ、せめて楊枝差込み補強など)

・L字金具を厚い天板の小口か側板と横木に向かい合わせて、かんぬき代わりとする。  (天板が薄く背面の横桟が使えれば同様に設置し、かんぬきを上から糸で落し差し) ・かんぬきは手ごろの金棒・太い針金でなるべく長くするか尻を曲げ抜け防止をする。

・L字金具の代わりにT字・首折れT字・一文字・平プレートを同様に使うことも可能。  (かんぬきを通す穴が小さければ、太い釘を穴に当て強打して拡大する方法もある)

(ファッション・アングルやパイプ・レールを取り付けた場合) ・家具側板上部にS字フックを取り付け、ファッション・アングルの穴に引っ掛ける。 ・家具側板上部にヒートンを取り付け、穴にパイプ・レールを通せば横移動ができる。  (アングルやポールが家具の横から見えるが、そのままハンガーとしても使える)  (純和風の部屋には向かないが、洋風の部屋では違和感が少なくて、案外に便利)

(スチール家具の場合) ・上述の裏板が薄い場合に準じ、部分的な補強板をボンド付けして横木に取り付ける。 ・取り付け法は座金を通してのネジ止めやリング・ワイヤーをポール・レールに通す。

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