床固定のいろいろ     ヤルデア研究所 伊東義高


床止め ・家具を床止めした場合、家具にかかる転倒モーメントはその一点に集中するのである。 (天板部分を壁止めするときは重心位置から約半分の力しかかからないのと対照的) ・床の強度、金具の強度、家具底部の強度から総合勘案して重量家具はなるべく避ける。  (重量家具を床止めする場合は「天井吊り」と併用し、近辺に人が常時駐在しない)

床の構造 ・日本建築の場合、1階床組は束石の上に床束、大引き、根太、床板の順に構成される。 ・2階床組は梁、根太、床板を順次直交させて重ね組まれているのが一般のようである。 ・床板の多くは約1cm(9mm、12mm)厚さの洋材が多く、ネジ打ちは利かない。 ・日本建築で床止めすることは外見上少ないと思うが、するなら根太にネジ打ちをする。  (和風は組床<架構式>、洋風は直床<非架構式>でスラブの上に直接床板がある)

木製床の首折れ止め ・根太の芯に向けて下穴を開け、鬼目ナットか接着剤塗りのアンカープラグを捻じ込みボルト締め。  (締め付けボルトを戻せば簡単に家具を移設でき、プラグ穴には化粧ビスを嵌めれば美観OK)

コンクリート床の首折れ止め ・コンクリート床にアンカープラグを打ち込み、これに首折れ等の金具を介して家具を固定する。  (コンクリート・スラブにアンカープラグを打ち込むには専門的な知識・工具・技量が求められる)

コンクリートプラグのいろいろ       ケーブルピットつなぎ ・コンクリートビルのオフィス床によくあるケーブルピット(電線管)の蓋を利用する。 ・電線取り出し孔の蓋(一般に捻じ込み式)にヒートンを取り付けて、家具を連結する。 (地震であまり強い引っ張り力のかかる家具類:つまり重量家具は避けたほうがよい)

強力粘着スポンジ止め ・模様替えや床掃除のためなどで頻繁に動かす家具の床止めは強力粘着スポンジを使う。  (ゲルマット、ワンダーゲルマット……などの商品名。詳しくはネット検索されたい)  (商品パンフレットによれば、水洗いにより粘着性は長持ちする…各自で確認のこと)

小学校の机の床固定 ・机や椅子が乱舞し激突すれば、幼い生徒は打ち身・骨折をして後の行動の支障となる。 ・床固定ができ、生徒が潜れば天井板・照明器具・窓硝子…から身を守ることができる。 ・そのマイナスとプラスの差は大変大きいが、既存の机固定に万全の良案は無理である。 ・万全案はなくてもソコソコ案なら考えられる。これらを積み重ねていくことであろう。 ・前提条件 a 400ガルで揺れてもいいが、転倒・逸走はしない b 木製・パイプ製のいずれにも応用が可能な方法 c 寸法変化・重量増加・改良費用は極力低く抑える d 耐震化工事に特別の工具・材料・技能を要しない e 生徒の着席・離席の障害にならないものとする f 机運搬や移設や固定が小学生で十分出来ること g 床面に施される固定金具等で人が躓かないこと

案−1 スチール・テープ引っ掛け方式

結果 + 帯に引っ掛けるだけなので移設・固定が容易……低学年生でも容易に出来る + 机は揺れても、逸走・転倒の確率は低くなる……ずれるのは後方のみで安心 + 施工が容易で、費用・手間も余り掛からない……教員や高学年生で施工可能 + 机の重量増加は僅かで、帯は邪魔にならない……前脚下の鋼帯は邪魔でない − 床上の止め金具の高さは低くても邪魔になる……上下式止め具は費用が高い − 止め具の固定位置で、机の配列が規制される……帯の長さだけ横へは移動可 − 床上実習の時など薄いカーペットを敷く必要……巻いて教壇の下に格納する 案−2 S環つなぎ

結果 + S環をくぐらすだけなので移設・固定が容易……低学年生でも容易に出来る + 机は揺れても、逸走・転倒の確率は低くなる……ずれるのは左右のみで安心 + 机の重量増加はなく、S環は邪魔にならない……ピット蓋の穴は危険でない + 床面と同じのピットの蓋は邪魔にはならない……特注ピットに費用が掛かる − 施工が困難で、技術・手間等がかなり掛かる……床のピット工事が割に困難 − ピットの設置位置で、机の配列が規制される……足載せ長さ分、横に移動可 案−3 強力粘着性スポンジ ・机の足裏に強力粘着性スポンジ片を貼り付ける。功罪は下記のとおり。問題は持続力。

+ 水平の地震力にはかなりな程度までOK + 小学生でも施工できる…防災意識アップ + 掃除等で動かす時も、軽い力ではがせる − 定時的に粘着力点検、水洗い、取り替え − 数量が多いので、年間費用がかなりの額 案―4 吸着盤方式 ・机やテーブルは発震時に身を潜らせる大事な大事なシェルターである。 ・机やテーブルは倒れることはなくても、ずれたり稀に走ったりして邪魔や凶器となる。 ・常に壁際に付けて使用するものは壁と金具固定すれば最も安全である。 ・しかし、机やテーブルの多くは部屋中央で使い、またよく移動をさせるものである。 ・床に固定する方法はいろいろあるが、移動に不便で、床面に傷をつけることになる。 ・100%の信頼性には疑問があるものの、ゴム製か樹脂製の吸着盤を履かせる方法がある。 ・市販の吸着盤(角型/丸型)を机やテーブルの脚に履かせるだけである。 ・吸着盤口径の寸法調整と脱落防止のために強力接着剤を使うとよい。 ・移動させる時は、片側を持ち上げて吸着盤に吸気を入れればよい。 ・吸着盤の空気窓やシリンダー式負圧機構付のほうがより安全だが、そこまでは要るまい。

+ 市販のゴム製または樹脂製の吸着盤で足りる……強力なボンドで接着させる ? 毎日のような着脱で吸着能力が劣化をするか……耐久力のある素材を考える ・ 粗い木目や細かなタイル目地がある床面では吸着盤の機能が働かないかも? ・ いろいろな吸着盤と床面の組み合わせで耐震性と便宜性の実験をしてみる。

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